南極が危ない!

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また一巡し、富野くんが温井くんの最後の1枚を引いた。 「あ、僕あがりだ」 続いて富野くんが俺のカードを引き、ペアを作ってあがる。 「俺もあがり!」 俺の手元に残されたのはジョーカーが1枚。 3人の視線がこちらに向けられた。 (……そうか、俺が脱ぐのか) 俺は3人より少し年上で、金子くん、富野くんとは特に親しくないから向こうが気まずい。 それは分かっている。しかし負けてしまったんだから仕方ない。 軽い目眩を感じつつも、俺は女性用のエプロンに手を伸ばした。 その時だった。 「ダメです!」 温井くんがエプロンを奪い取った。 「温井くん?」 「北畠さんにこれを着させるわけにはいきません! 僕が着ます!」 言うなり彼は勢いよく服を脱ぎ始める。 「ええっ、温井くん!?」 止める間もなかった。温井くんはすぐにボクサーパンツ1枚になってしまう。 「えーと、このエプロンどうやって着るんですかね?」 (いや、待て。裸エプロンっていうか裸になってる……) 金子くんも富野くんも、やらしい目でなく困惑顔で見つめていた。 * エプロンを身につけた温井くんを前に、2人が感想を述べる。 「温井くんって、思ってたより男らしいんだね……」 「細いのに意外に筋肉ついてるんだな……」 そうなんだ。バランスのいいしっかりした体つきで、けっしてナヨナヨしていない。 しかしその肌は艶やかで白く、フリルのエプロンも違和感がなかった。 「料理って結構肉体労働なんですよ。毎日30人分作ってますから」 温井くんは少し得意げに言いながら、罰ゲームのカードにある通りみんなにお茶を配った。 彼の裸エプロンを絶対に阻止しなければならないと思っていた俺は拍子抜けしてしまう。 ところが……。 「北畠さんもお茶どうぞ」 腕を伸ばした温井くんの、エプロンの隙間に目が吸い寄せられる。 「ん、なんですか?」 下着をつけているものの、引き締まったお尻のラインも悩ましい。 だって俺は知っているんだ。一糸まとわぬ姿の彼がどんなか……。 「……いや、なんでもない」 「なんでもなくはないでしょう。思いっきり目を逸らしてるじゃないですかー」 「あっ、北畠さんエッチなこと考えてる!」 富野くんが口を挟んだ。 「だな、案外ムッツリだな」 金子くんまで同意する。 「温井くん、北畠さんから離れな!」 「そうだよ、温井くんのことエッチな目で見るの禁止!」 「見てない……。というか元はといえばきみたちが」
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