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秀(しゆう)と星(せい)
次にメグの後ろの席の和泉秀が立った。
「ワイは和泉秀(いずみ しゅう)いいまんねん、名前は普通の泉やなくて上に和をつけてや。あんじょうよろしゅうな!ほな」
メグとは対照的にあっさりとした挨拶で席に着いた。
神戸ではまずお目にかかれないこてこての大阪弁にクスクス笑う生徒もいた。
「なによ秀、いやにあっさりね」
「ワレこそしゃべりすぎや!初日にどこまで正体をばらすつもりなんや?黙って聞いとったらホンマひやひやしたがな」
「いいのいいの、全部本当のことだから!それにいずれわかることだし」
「聞いてるこっちはたいがい寿命が縮んだわ、ホンマ」
「縮むって5000年ぐらい?」
「アホ、おまはん『かぐや姫』のときも言い過ぎた挙句に正体バラしてワヤなことになったん忘れたんか?」
「完全に忘れたわ!だってもう平安時代の話じゃない。あ、次は星の番ね」
「ぼくは保倉星(ほくら せい)なんだナ、星と書いて『せい』と読むんだナ。ぼくは先ほどの恵(メグ)の御守係を長いことやってきたんたナ。まあ要するに彼女とは古いつきあいなんだナ。趣味は電子・物理工学なんだナ」
星は和泉秀のほうを見てにっこりと笑って腰を下ろした。
「あ、あのアホ抜け駆けしやがって、ぎょうさんしゃべりおってからに!おれも同じメグの御守係やぞ!遠慮して損したがな!」
「あはは!あんたたち相変わらずね。でもこうして3人揃っての任務って久しぶりね。まあ今回は21世紀の高校生っていう設定だけどなんとなく楽しめそうね」
「あんさんなあ、ちょっとはあんさんを補佐するこっちの身にもなってみい」
「まあまあ、怒らない怒らない。細かいこと言う男は嫌われるよ」
「こらあ、そこ!いったい何をゴジャゴジャ話しをしてるんや?」
大野の叱責が飛んだ。
「ごめんごめん、久しぶりの再会だったんでつい・・」
「『久しぶりの再会?』同じ中学出身かなんか知らんが、他の生徒の自己紹介も黙ってまじめに聞け!」
さっと構えた大野の手刀がメグの頭にコツンと当たった。
「いてー!先生暴力反対!」
「当ててない、寸止めだ」
「じゃあ寸止めも反対―!!」
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