亡くなった娘の話

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亡くなった娘の話

2021年1月に酷い貧血で、自宅近くの医療センターに 緊急入院して、色々と検査をした結果 仁美は、子宮体癌であることを こんなご時世だったから、一人で 主治医から告知され、子宮と卵巣を 摘出する手術をすることになったのが 2月の始めだった。 手術の結果は、癌は腹膜や直腸に転移があり 出来る限りは、癌を取ったが 後は、抗がん剤治療に頼るしかないと言われて 3月から抗がん剤治療を始めた。 4月、5月と特に何も問題無く 抗がん剤治療が効いてくれている  と、誰もが信じていた。 しかし、6月の始めに抗がん剤治療で 入院したその日に発熱 抗がん剤で、抑え込もうとしていた癌が 仁美の身体の中で暴れ始めたのだった。 熱が下がり、1度は自宅へ戻ったけれど 運命は残酷で、腸閉塞を起こして 再び入院、仁美の身体の中で癌は 猛威を奮い、リンパ節や肝臓に転移 そして、腹水が溜まり 思うように食事をとれなくなった。 7月始めに腹水を抜くために入院 そしてそこで、緩和ケアと在宅医療を主治医から 進められることになり、余命を告げられた。 余命を告げられた仁美は、退院した その日にパチンコ屋へ遊びに行きたいと 私と旦那さんとパチンコ屋へ 歳頃の娘の願いがパチンコ屋なんて… もっと何か無かったのかな? この日、パチンコ屋へ行ったものの なかなか当たりを引けず 仁美の表情は暗かった。 私はたまらなくなってしまって トイレに駆け込んで泣きながら 祈りました。 神さまが居るのなら 仁美に当たりを見せてやって下さいと。 すると、私がトイレから戻ると 仁美が当たりを引いて笑っていた。 神さまは居たのかもしれないね。 でも、それが仁美にとって最後の当たりだった。 そして、翌週の7月15日午後8時50分 仁美は逝ってしまった。 32歳という、短い人生に終止符を打ち 仁美は、どこへ逝ってしまったのだろう。
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