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幼なじみの腐れ縁
「ほら天音、遅刻するよ」
「待って菜都!ジュース飲んでない!」
「ジュースは学校でも飲めるでしょ、おいてくよ」
「やだ〜、天音をおいてかないで!」
いつも通りのインターホン越しの会話。
天音は私の隣の家に住んでいる。いわゆる幼なじみってやつだ。かれこれ15年も一緒にいるらしい。
「お待たせ!!」
「遅い、早く行くよ」
門から出てくる天音の姿を確認して私は歩き始めた。
その瞬間、肩に重みがかかる。鼻をくすぐるのはいつもの甘い匂い。
「菜都、おんぶしてよ」
私の耳元で甘えた声を出す。
はぁ、とため息をつきながら私は肩に寄りかかる天音をどかした。
「やだ。本当に遅刻するよ?」
「いいもん、別に遅刻くらい」
「私は嫌なの、ていうか天音のお母さんに怒られちゃうし」
そう言うと天音はほっぺを膨らませた。
昔からそう、天音は駄々っ子で何か自分の思い通りにならない事があるとほっぺを膨らませる。
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