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「……じゃあ手、繋いで。そしたらちゃんと歩くから」
「ハイハイ」
軽く返事をして天音の白くて柔らかい手を握った。毎朝毎朝こんなことを私達は繰り返してる。
「チュー……」
隣から紙パックのいちごみるくを飲む音が聞こえる。
「随分とお気楽なものですね、天音さん」
遠回しに嫌味っぽく私は言った。時計を見れば8時10分、ここから学校まで5分かかるから15分の予鈴に間に合うか分からない。
「天音はマイペースな人間だよ?」
「それは知ってる、ちょっと早めに歩けない?」
「朝は体が重たいのです」
「も……」
少し呆れつつ、これもいつもの事。私は気持ち歩くスピードを早めた。
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