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桜夢の共演者。
それは、小学校5年生のころだったろうか。
真っ赤に泣きはらした目で私を恨めしそうに見ながら、親友だった彼女は言った。
「●●●ちゃんって、あれだね。魔女みたい」
え? それ、どういう意味?
「魔性のオンナ」
「いったい何人弄べば気が済むワケ?」
また、違う子たちが現れる。中学、高校と色んな女の子グループが現れては消えていく。
「そういうの、やめてくれないかな? ●●●さん。うちらだって守らなきゃいけないコミュニティってのがあるんだよ? 引っ掻き回さないで」
冷たい目。燃えるような憎悪の眼差し。
「もうこいつ魔女でいいんじゃね?」
「魔女は火あぶりにするべし~」
「ぎゃはは、あんたそれ犯罪だって!」
どうして?
どうしてみんな怒るの? 私を煙たがるの? ねえ? 私が何をしたっていうの?
「あんたが」「あなたが」「アタシの」「あの子の」
やがてたくさんの少女たちの悲鳴に似た絶叫が重なり合い。不協和音となって、蹲る私の上に降り注いだ。
「男を取った――――!」
その夢を見て目覚めた朝、私はいつも誓うのだ。
「今日もちゃんと、『泉舞子』を演じる(やる)から……」
うまく演じれば、赦されると信じて。
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