春の轟音

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コーンクリームスープの匂いで目が覚めた。 もうすぐスマホのアラームが鳴るな。 枕元に手を伸ばしてスマホを取ると、6:28AMだった。 よっしゃ。起きよう。 ベッドから起き上がって、うーんと伸びをして。 手を伸ばしてカーテンを開けてから、ベッドの正面にある鏡をチラ見。 うん。この程度の寝ぐせなら、このままでいーや。 立ち上がると同時にアラームが鳴った。 すぐ止めて、リビングに行くと、いつもはふたりで料理してる父さんと母さんが、もうテーブルについて喋りもせずにテレビを見ていた。 ?? 何の番組だろ?? テレビから聞こえてくる音声は、いつもの朝のワイドショーとは違って、何か深刻そう。 「おはよー」 とりあえずふたりに声をかけて、オレの定位置のイスに座る。 目の前には、ちょっとマクの張ったコーンクリームスープが置いてあった。 ふたりからの返事はないし。 何をそんなに真剣に見てるんだろ? オレもテレビに意識をやる。 画面に映ってるのは、ピンセットでつままれた、でっかい、バッタ? うえー。オレ、虫ニガテなんだよー。朝から勘弁してくれよー。 「ちょ、チャンネル変えてよー。気持ち悪いって」 食い入るようにその映像を見てるふたりに声をかけるけど、やっぱりふたりとも返事もしない。 一体何なんだよ。もう。 そのときテレビの音声が言葉になって耳に入り込んできた。 『このように、胴体をつぶすと出てくる体液が瞬時に虫の身体全体を覆い・・・』 つぶすって何を?! びっくりしてついテレビを見てしまうと、そこにはガラス片ではさまれてベシャッと押しつぶされたさっきのバッタが映ってるし!!
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