二次会

2/2

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
結婚式の二次会会場。 挙式した式場の会場をそのまま使っているため、披露宴と変わりない。親族がいないだけだ。 花婿 岡澤勝。 元カレだ。 元カノを二次会に呼ぶのは常識が外れてる。 出席している私も常識がない。 真紀子はそう思っていた。 仕方がない。高校の同級生テーブル。同窓会のようなものだ。 真紀子と勝が交際していたことは誰も知らない。 シルバーのタキシードを着た勝は輝いていて真紀子には眩しかった。 真紀子はまだ引きずっている。 別れ方が電話で「別れよう。じゃぁな。」だけで後は相手にされなかった。 ため息をつきながら出された料理を食べていく。 「なに、あんたため息なんかついちゃって!好きだったの?」 クスクス笑ってくる宏美。 「ま、そんなところ。言わせないでよ。」 ゲームが始まったりクイズが始まったり馴れ初めが紹介されたり。 馴れ初めは真紀子にとって苦痛でしかない。 真紀子は涙が出そうだった。 無事に二次会は終わり、引き出物をもって解散しはじめる。 順々に祝福の挨拶と握手をしての新郎新婦の御見送り。 苦しくて、すぐに並べず、ひとり残ってしまった。 「真紀子。」 勝が真紀子に駆け寄る。 「今日は来てくれてありがとう。」 なんて返事をすればいいか分からなかった。 新婦は距離が離れており友人だろうか。楽しそうに談笑している。 真紀子はそっと勝の左胸に右手を添えた。 その温もりに真紀子の涙腺は崩壊した。 「真紀子?」 「二番目でいいから愛して。」 真紀子はハッとした。なんていう事を今、口走ったか。 正気にもどり、勝の顔を見ずに真紀子はその場を走って後にした。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加