兎が目指すところ ①

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 私が賢太郎さんの作品に出会ったのは、中学時代からの親友からのお誘いがきっかけだった。  友人もそのまた友だちから作品のDVDを借り、見せて貰ったことがきっかけではまったそうだ。  そのはまり方が尋常ではなく、いつの間にかラーメンズはもちろん、賢太郎さん関連のDVD作品をほぼ網羅していた。  その上で実際に舞台を見てみたいと言う話しになり、都合のつきやすい私を誘ったのだ。  とはいえ、いきなり舞台を見に行くなんてチケット代に旅費などお金もかかるしハードルが高い。  友人はまずは手始めにと、休みがあうと私を呼び出し所持してたDVDを一緒に見るようになった。  すべてを見ると時間がなくなってしまうので、友人オススメのセレクトをいくつか見ていた。  始めてみた作品は、友人が分かりやすいからとギリジンを見せてくれた。  片桐仁さんがひたすら一人で賢太郎さんが演じるキャラクター(たかしであったり、路上のライブを見る人だったり)にかまってもらおうとがんばるものだ。  ギリジンになる前に『たかしと父さん』もある、そちらも必死な仁さんが面白い。  仁さんのキャラクターを存分に生かしたネタでギリジンの歌はわたしもたまに口ずさんでしまうくらいはまった。  最初の出だしは面白い変わったお笑い芸人というイメージだった。  そのあとに見た『片桐仁概論』『不思議な国のニッポン』『バニーボーイ』などの作品もどれも楽しい作品だと思った。  だが、そのなかでも友人が一番見せたかったのは『ドラマチックカウント』だったらしい。  友人曰く、これを見たときこの人は本当に天才なんだなと思ったそうだ。  その作品は最初に字幕がながれ、そのあとに二人のやり取りが描かれる。  そのやり取りの際に発される言葉はなんと、『10、9、8……』と言うカウントダウンや『あいうえお』の言葉を順番に発するだけで話が完結するようにできているのだ。  詳しく見たい方はラーメンズ公式のYouTubeにも上がっている作品なので是非とも見ていただきたい。  さらに友人は一緒に見に行きたいといった作品、『ポツネン』を見た。  これは賢太郎さんが一人で舞台を行うものだ。  トランプを使った手品のようなネタなどもあり、この人はこんな器用なことも出来るのかと驚かされたものだ。  ここでも、『アナグラム』を使った作品などが出ていて友人はやはりこういった言葉を使った作品が好きなようだった。  その後は賢太郎さんがプロデュースした舞台作品の『KKP』、更には片桐仁さんが主演の『カビ人間』を見せてもらった。  カビ人間はめちゃくちゃ泣かせてもらった記憶のある素敵な作品だ。仁さんが役にはまりすぎているのが、またずるい。  こうして私はまんまと友人の布教の罠にかかりどっぷりとラーメンズにはまっていったのだった。 〈②につづく〉
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