親父があれを着けてくれない ※これはフィクションです

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親父があれを着けてくれない ※これはフィクションです

※大事なことなのでもう一度書きます。これはフィクションです。会話劇になります。  とある世界のとある話。  『〇〇〇』というものは何かご想像にお任せします。  ―――ある日 「なあ、雪兎。最近、配達先のお客が酷いんだ。〇〇〇を着けないで来るのはやめてくれって言うんだ。」 「それは着けない親父が悪いと思う。つか、そもそも親父、花粉症だったんじゃなかったか?」 「〇〇〇が手に入らないから無理って、言ってる。」 「……前の職場の親切な人がくれたのがあるからこれ使っていいよ。」 「雪兎は接客業だろ?お前だって必要だろ。」 「そうだけど、まだストックがあるからなんとかなるよ。リビングに置いておくから使っていいよ。」  ―――その翌日 「なあ、雪兎聞いてくれ。会社にも〇〇〇着けてくれって、ついに言われた。」 「まだ着けてなかったのかよ!てか、花粉症はどこいった!?」 「まだ〇〇〇が手に入らないから無理って、言ってる。」 「昨日使っていいってリビングにおいたじゃん!なんで使わないんだよ!」 「だってお前は接客業だろ?職場でも着けろと言われてるんだろ?」 「それは親父もだろ!」 「あ!そういえば、スーパーで〇〇〇10枚入りがあったから買ってきた。しかもお一人様1セットまでだったから、並び直して2セット。」 「買ってんじゃねえか!つか、めっちゃ迷惑な客!!こっちがスーパーの店員なら出禁にしてるよ!そんだけあるなら、次からは着けていけよな!」  ―――そのまた翌日 「……雪兎。ついに会社から繰り返し使える〇〇〇渡された。」 「まだ着けてないのかよ!この親父!つか、花粉症って、実は思い込みだろ!」 「花粉症は……たぶん治った。」 「そんな簡単に完治したら世の中の花粉症の人は苦労しねえよ!」 「花粉症だって何年も戦い続ければ、いずれ治る。」 「そんなモンスターを倒し続けてレベルが上がれば、いずれ魔王も倒せるよみたいなノリで治るか!だ・か・ら!〇〇〇着けろよ!」 「雪兎……実はお前に黙っていたことがある。」 「え……いきなり真面目な顔してなんだよ……」 「実はな。」 「…………」 「俺は……」 「………(ごくり)」 「俺は〇〇〇が嫌いだ。」 「知ってるよ!もう昨日着けていってなかったとこで気づいたよ!」 「だからな、俺は着けない。」 「着けろォォォォ!」  ―――そのまた翌日 「雪兎、社長夫人に除菌スプレーかけられた。」 「ついにバイ菌扱いされてる!?てか、まだ着けてないのかよ!」 「最近はスーパーで買い物するにも〇〇〇を着けてないと冷たい目で見られるんだ。酷いと思わないか?」 「たぶんそれは前に迷惑な買い物したからだと思う。〇〇〇を着けてないとかじゃない。」 「実はな、雪兎。まだお前に伝えてなかったことがある。」 「いい加減、都合が悪くなると話題を急に変えるのはやめてくれ。あと〇〇〇が嫌いなのは知ってるぞ。」 「………雪兎、おまえっ!」 「お、親父。悪い……言い過ぎた……真面目な話だったか?」 「……おまえ………なんでそれを!」 「昨日言ったんだよ!お・や・じ・が!」 「雪兎……お前は頭がいいんだな。」 「いや、親父の記憶力がそうとう悪いんだと思う。」 「とにもかくにもな。だから、俺は着けない。」 「もういい加減にしろォォォ!」
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