中の人が兎の理由

2/2
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
 タイトルは忘れてしまったが、あれは彼女のエッセイだった。  当時の私はエッセイという物をあまりよく知らず、最初は創作の物語か何かと思って読んだ記憶がある。  中村うさぎの作品を読んで作家を目指していた私は尊敬していた。  ところがそこに書かれた赤裸々な彼女の姿はひどい物だった。  中村うさぎのエッセイを読んでいる方やテレビなどで彼女の生活を見た人はご存じだろう。  出版社から金を前借し、ブランド物をとにかく買いあさる生活をしたり、ホストに入り浸り貢ぎまくる生活をしていたり、整形しまくっていたり。  当時、純粋な学生だった私にはショックが大きすぎて、尊敬がひっくり返り軽蔑まで行く寸前になるほどだった。  なら読まなければいいのに、またこれが面白おかしく書かれていて読み込んでしまう。悔しいが、やはり嫌いにはなれかったのだ。  ただこれを読んで作家にはなりたいが、彼女のような大人には絶対になりたくはないと本気で思った。  そう思う反面、頭の片隅にはなんとなく『私は彼女のような人間になりそう』とういう謎の直観もあった。  あの当時の私に伝えてあげたい。  ―――そうだよ。そのカンは大体あっている。  金の前借まではしないにしても、似たような人間にお前はなる。  ブランド物は買わないが、アニメ・ゲーム・舞台・ディズニーにとことんはまり散財をする。  ディズニーに至っては夢の国と海を毎シーズン行っていた時期があったくらいにはハマっていた。  それと同時期に舞台とライブなどにはまり、遠征が重なったりしていた。  お金の感覚については『貯金?なにそれおいしいの?』などとあたまのわるい人のイラストと同じ顔で口をぽかーんと開けている状態であったと言うと分かりやすいだろうか。  ホストは通わないが、友人や同じ夢を目指す仲間などにはとことん貢ぐ。  仲間が舞台やイベントに出るというならできるだけ行こうとするし、仲良くなった友だちには些細なことでも贈り物をあげたくなる。  最後の整形はしてはいないが、最近ダイエットがきっかけで筋トレに少し目覚め始め、体にあうプロテインを探していたりする。  もしおすすめがあったらぜひとも教えてほしい。  とくにBCAAと大豆プロテインを求めている。  ………すでに元の話が分からなくなってきたので、話を戻そう。  つまりこの渥美雪兎の名前は潜在息のどこかであった中村うさぎの名前からも来ていたのだろう。  では最後に一言。  ゴクドーくん漫遊記の外伝がまだ完結せず絶版になってしまったのだが、どこに訴えればいいのだろうか。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!