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ただ、そんな私の反応とは裏腹に母は大したものでもないと言わんばかりの反応だ。
そんな母をよそに私は興奮気味に母に小判がどんなものだったのか見せてほしいと頼んだ。
「見ても大したものじゃないよ。」
興味のない母はそう言って、ディズニーのお菓子入れだった缶ををあけたのだが
中にはいくつかのポーチがあり、その中に昔に母親が使っていた化粧ポーチ……むしろ、これすらいつの間に祖母は持ち出して私物化していたのだろうか……
とにかくそのポーチを開けた。
ポーチの中に雑誌の付録であろうアニメ柄の巾着袋
そこからさらに出てきたティッシュから包まれた何かを取り出したのだ。
―――しまい方、雑ぅぅぅ
小判とかって木箱とかそういう物に入っているもんじゃないの!?
しかもティッシュで包むって……
後で聞いたら、他のポーチからは使い済みっぽいティッシュも出てきたとか。
……病原菌の温床じゃないか!こわっ!!
このご時世でそれはコロナじゃなくても怖いわ!
新しい菌でも育てているのかよ!
それらは即捨てたわけだが
問題はこの小判。
そっと開けてみると……
めっちゃ金ぴかの上に墨で何か書いてある小判が出てきたのだ。
「これ、本物かな?」
「んなわけないでしょ。こんなキラキラだし。メッキじゃないの?偽物よ。偽物。」
父に比べると母はドライである。
ロマンもなにもなかったのである。
あの時の父ではないが、私は少し気になった模様を指さして母に聞いてみる。
「でも、うちの家紋っぽいのはいってない?」
「何それ、余計に偽物っぽい。」
……そっかぁ、偽物っぽいときたかぁ。
私はそれ以上は追及することは諦めた。
あの小判のようなものはまたティッシュにくるまれ雑に保管されてしまったのだった。
結局、わが家の先祖の話はうやむやにされたまま解決はしなかった。
仕事に出ていた時間だったためいなかった父が聞いたら、きっと鑑定団に出すだのなんだの大騒ぎだっただろうと思う。
ちなみにいまだに父には話していない。
父はそんな小判のことも知らず、のんのんと時代劇やらサスペンスの番組を見ていることだろう。
この世には知らないほうが幸せなこともある。
雑にしまわれた小判が本物か偽物か
そんな事実なんて些細なこと。
きっと知らないほうが幸せなのだろうと思っだ。
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