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で、ジンはそんなネイレドの部下だった。
若いころ、やんちゃしまくってたジンが、ネイレドに喧嘩売って、コテンパンにやられて、その強さにほれ込んで部下になったとか。
「強さだけじゃなくて、その見た目や性格から、たくさんの人に好かれる人だったよ」
とハイルは、恥ずかしそうに、でも、どこか誇らしげにあとで語ってくれた。
あ、ちなみに今の言い方だともう亡くなってしまったみたいな流れになっちゃうけど、ネイレドはまだ生きてるよ。
イシュタムさんが崩御した後、エルフの里に戻って、長になったって聞いてる。
残念ながら私はまだ顔を合わせたことがない。
私が即位したときの魔王城には来てなかった。
ネイレド曰く、
「私は引退した身で、臣下の立場は息子に譲った。老兵はただ静かに去り行くのみだよ」
とのこと。
その言葉にハイルが、
「老兵って言ったって、見た目は30代から全然変わってねえし、今でも現役で俺やジンの事、片手でひねれるだけの力持ってっから」
と、呆れたように返していたのは、後日談でのことだ。
さて、話は戻して。
今もなお相手にしろーとジンが駄々をこね、お願いしますと頭を下げる一般兵たち。
なかなかにカオスな状況になっている。
なので、私はハイルにくるりと向き直ると、ハイルの手をぎゅっと両手で握って、
「ハイルお兄ちゃんの雄姿、見てみた~い」
「……………………ハアー……、しかたねえなぁ」
すっごい間があったけど了承してくれた。
というわけで、ハイワルトVSジン&警備隊兵達による練習試合が行われることになったのだった。
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