26人が本棚に入れています
本棚に追加
題:9
[まずは会議室にお入りくださーい!]
校舎に入るとすぐに会議室と書いたパネルが付いた扉が現れた。これも義父さんが改造したのだろうか。普通の学校では校舎の入口に会議室なんて無い。
「罠じゃあねぇよなぁ?」
不良Bが警戒してごく普通の部屋を見回す。赤いソファー、木で作られた横長の机、何も不思議な所はない。
[あくまで会議室ですよ。話し合いの場ですから、物理的な罠なんてナシ!ま、言葉の罠には気を付けましょうねー。]
愁井さんらしい呑気な受け答えだ。きっとまた後で怒られるに違いない。
「椅子、足りなくないスか?」
キュウの言った通り、僕らの人数は14人。それに対して椅子の数は10脚。イマイチ用意が悪い。何かあるのだろうか。
「じゃあ、立ったまま自己紹介といこうか。ここではさっきと同様、人海戦術が効いてくるに違いない。」
[新岳エイルさんの言う通り!冴えてる〜!]
…愁井さん、今日は何か良い事あったのかな?
「まず放送の通り、僕は新岳エイル。大学2年で心理学を勉強しているよ。じゃあ次キュウ、頼んだ。」
適当に挨拶したエイルはキュウの肩をポンっと叩いた。心理学の勉強か…道理で僕の嘘を見抜けた訳だ。
「えっと…高校1年生の金城救です!キュウって呼んでください。さっきはちょっと恥ずかしいところ見られちゃったんスけど、ここにいる全員で脱出しましょう!イーさん、お願いします!」
…は?分かってたけど僕か。取り敢えずこの背中の女性をソファに寝かせないと。
「待て。今この人を寝かせるから…」
ソファに女性を寝かせる。この人はまだ起きないのか。デスゲームの最中だというのに呑気なものだな。
「僕は御霊伊英。エイルと同じく大学2年生だ。学部は経営学部。特に言うこともない。次は…」
視線を流しているとケイと目が合った。
「わ、わかってます。波浪京です!ち、中学3年生で、高校も決まってます!えっと…それから…!」
「ケイ、次行くね。私は神薙椎那。ケイとは親友だよ。シーナって呼んでね!」
隣のシーナがフォローして、なんとか繋げた形か。あの二人は知り合いというだけでなく、親友だったのか。道理で慌てていた訳だ。
「それじゃ、次は俺が行くか。俺は寅島剛士。アンタら5人、さっきは助けてくれてありがとな!茹でられなくて良かったぜ。」
…強そう。鍛え上げられた筋肉とサングラスからそれしか感想が出て来ない。それと…5人という事はあの部屋に居た僕たち4人と帽子の男か。
「それじゃ、仕掛けを見つけた私も自己紹介といこうかね。稲垣艇、何処にでもいるただの紳士さ。」
「そんなベタな紳士、そうそう居ないッスよ!」
「むむ…そうか…」
キュウにツッコまれたテイは少し残念そうに苦笑した。彼にも謎が多い。
「君達3人はいいのかね?」
テイは一切輪に加わらない不良とピアス少女の方を向いた。
「アタシらはいーや。別に仲良くする気もないし。謎解きとかめんどいしねぇー。」
彼女らのような人間は一定数居る。何もしなくても勝手に罠に掛かってくれるタイプの人間は相手にしていて楽だ。
「なら次は僕らがするよ。僕は青葉梔子。こっちはケリー。家族なんだ。じゃあ円さん、お願いできる?」
白いネズミを肩に乗せた銀髪の青年がOLの方に向く。
「お願いだからケリーを近づけないでね。動物嫌いだから。私は柳原円よ。テイさんとは違って本当にただのOL。」
「失礼な…」
「巻きでいきましょう巻きで。私はあらゆる本を取り扱う秋晴図書館の隠れた天才。人呼んで超敏腕書士、和歌山矢印!」
巻き発言は何処へやら、長文で自己紹介する姿には愁井さんと似たようなものを感じる。なるべく彼女とは関わらないようにしたい。
「最後はあたしだね。冴橋藍だよ。ピッチピチの小学3年生!崇めよー!」
「アイちゃん、自己紹介で流石にそれは駄目よ。」
うーん…より困る。彼女の世話はマドカに任せよう。
なんとなく危険人物は把握したが、後はどう対処するかだ。
[寝てる人は置いといて、全員自己紹介が終わりましたねー!続いては皆さん、最初のゲームの犠牲者について話し合ってください!]
最初のゲームの犠牲者?それは…
最初のコメントを投稿しよう!