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題:2
「何だお前!一体何の目的で俺達を閉じ込めているんだ!」
「待ちなよ。その質問はきっと無駄だ。それより、向こうを見てみなよ。」
激昂する茶髪の少年の肩にフードの青年が手を置いた。青年が反対側の手で指した先には上から太い鎖でぶら下げられたガラス張りの部屋。中には人が居る。部屋の扉から伸びる橋はこちらの部屋の方まで繋がっている。
[反対側の部屋には君達と同じ、8人の異端が乗っている。その部屋に隠された仕掛けを解ければ扉が開く。ああ、この放送は反対側の方にも通じているから安心したまえ。それと、片方の部屋にはもう一つ脱出用の扉があるが、そちらから出てもらっても構わない。]
「…扉?アタシたちそっから出れんの?さっきまで閉まってたんだけど。」
先程まで口を半開きにして話を聞いていたピアスの少女が鉄の壁のドアに手を掛けた。ギィィ…と、重厚な音を立てながらドアが開く。
「お、開いた。」
[その扉の奥に罠がある訳ではない。反対側の部屋の人々を助けず先に進んでも問題は無い。]
「ほー…じゃあ俺らはお先に失礼するわ。」
「謎解きがんばー。」
不良の少年少女はドアの奥の暗闇へと消えていった。
[見捨てるという選択肢、それも良し。人生は選択の連続である。]
義父さんは哲学者だ。会話の中でも難しい言葉を選ぶから、僕も自然と身についてしまった。
「薄情な子達だね。僕は別に構わないけど。」
フードの青年は部屋の中を物色し始めた。どうやら仕掛けを探しているようだ。
「仕掛けが解けなかったらどうなる?」
毎回だが、義父さんからゲームの内容は聞いていない。これは僕自身の意志で、うっかりプレイヤー側に情報を流してしまう可能性があるからだ。
[制限時間が来れば当然、ゆっくりと下の沸騰した水の中へと降りていく。再び上がる頃には既に茹で蛸ならぬ茹で人になるだろう。ククク…]
茶髪の少年の顔から血の気が引いていく。さぁ、存分に焦ってくれ。焦れば焦るほど生存率は下がり、僕の勝率が上がる。
[抵抗するのは諦めた方が良い。それでは、スペシャルステージスタートだ。]
義父さんの声が寂とした室内に木霊する。
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