題:6

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題:6

昔から早起きだけが自慢やった。 「何処やここ…」 全面ガラス張りの部屋、周りでは見知らぬ男女が眠っている。でも、似たような光景を俺は知っていた。 大好きやったデスゲーム、サバイバルホラーもんの類や。こういう時、俺みたいな奴は到底生き残れん。化け物に喰われて死ぬか、アホみたいな罠に引っ掛かって死ぬんや。 嫌や。そんなの嫌や。俺はあのまま部屋に引き篭もっていたかっただけやのに。 こんな事ならもっと運動しとけば良かった。近くで倒れているマッチョみたいに筋肉があれば、そこそこマシな活躍が出来たやろうに。でも、駄目や。今からじゃ遅すぎるわ。 ああ、オカン…ごめんなぁ。こんな息子で。 頼りなくて、アホのくせして怠け者で。 結局、何の役にも立てへんかったなぁ…。 涙で溢れた目からは見えるはずの自分の手が見えなくなっていた。 「なんや…?」 手だけじゃない、全身がスケスケになっていた。スケスケというより、周りの色に合わせて擬態しているみたいやった。 「たこ焼きの食いすぎやろか…はは…タコみたいになってしもたわ。」 でも、これなら隠れられるわ。俺は部屋の端を向いて体を丸めた。 俺は絶対生き残る。ここに隠れてりゃ無敵や。雷さまでもへそが取れへん。 何回も触られた。何回も叩かれた。何回も蹴られた。それでも俺は我慢した。 なんか色々聞こえてきたけど、全部無視や、無視。精神攻撃しようとしたって無駄やで。 鈍い音や機械音が聞こえたりしたけど、そんなの関係あらへん。俺はここに隠れてりゃええんやから。 最後にチャプンって音が聞こえてきてからは何も聞こえんくなった。 …なんか暑いなぁ。なんやろか…皆が動き過ぎて室温が上がったんやろか。それにしてはなんか寂しいなぁ。あんまり暑いと俺、真っ赤な茹でダコになってしまうで。 …オカンのたこ焼き、食べたいなぁ。
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