01:南の島から【お獅子の流儀はワールドスタンダード】

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01:南の島から【お獅子の流儀はワールドスタンダード】

 頬を撫でる潮風は、カラリと乾いていて――心地がいい。 夏ど真ん中――といったような気温ではあるが、湿気のない暑さというのは実に爽やかで。 じわーっとした極東の島国の(あつさ)とはまったく違って、不愉快じゃあないから気にもならない―― ――…からこそ、別のコト(・・)が気になるわけで……。 「…はぁ……いつまで俺はここにいりゃあいーんでしょーねぇ~…」  燦々と照る太陽の光を受け、キラキラと輝いているのは――コバルトブルーの海と真白な砂浜。 それをパラソルの下、デッキチェアに寝転がりながら眺める――なんて、絵に描いたようなリゾートofバカンス。 誰もが羨むだろう至福の時間――だとは思うが、腑に落ちないこと、心配事を抱えた状態じゃあ無価値――通り越して苛立ちすら覚えた。  何故、俺はこんなところでバカンスもどきに興じているんだろうか。 本物(さいあい)自分(いもうと)が、世界最強悪の魔女に捕まって――死ぬほどきっつい修行(しごき)を喰らってるってのに…。 …いやまぁ……俺自身も似たよう目には合ってるんですけどぉー……。
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