01:南の島から【お獅子の流儀はワールドスタンダード】

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 自分に一切の落ち度はなかった――と思っている、自分の思慮、思考の浅さ――が、俺の落ち度(けってん)なんだろう。 命令さ(いわ)れた事は完璧に遂行するが、それ以上はなく、それで終わる――ロボット的な考え(あり)方が。  指示されたことを完璧にこなす――それは大事なことではある。特に、優れた軍師が組み上げた作戦を以て戦い(コト)にあたるとなれば。 だからそういう戦い()において、(コマ)が思考を持って動くのは逆に不利益を生む。 ……とは言うものの、本当にデキる策士ってのは駒の思考まで読むモンで。 それができない策士ってのは所詮その程度(・・・・)――…なら、その策ってのも「その程度」ってな話になるワケで。 …穴のある策に、当たり前に全乗っかりし(しこうをなげ)た俺――の不出来(むのう)は明らか、か。    「澪理のため」と言いながら、自分に与えられた役割をこなすことしか考えていなかった―― ――その、思慮の浅さと視野の狭さが俺の欠点で、今後改善していかにゃならない部分。 そしてそれを改善せんことには澪理の(ちから)になれない――としても、俺がここにいる意義がわからない。 ここで――獣神の神域で、その神子としてその威を示す――売られたケンカ全部買って全部勝つ、 それこそ思考ゼロの脳筋案件(おまつりさわぎ)ばっかりの毎日(いま)に如何ほどの意味があるというのか――
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