初めて

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初めて

「ねぇ、私たちが友達になった時のこと覚えてる?」 茜はアイスを舐めながら私に聞いた。 「もちろん。茜が話しかけてくれたんだっけ…」 「そうそう。なんか告白みたいなこと言ったよね」 あの頃を思い出しながら微笑む茜。 「たしか、『私と仲良くしてください。絶対1人にさせないし悲しませない。私が守ってみせるから』…だっけ?」 「ちょ、彩花!?なんで覚えてるの!?やめてよ恥ずかしい…」 そう言って顔を覆い隠しながら私の背中を軽く叩く。 「でももう2年も前のことなんだね…」 私がそう呟くと茜は悲しそうな顔で空を見上げていた。 「私ね、叶えたい夢があるの。でも叶わない……ねぇ、どうしたらいいの?」 涙を流す茜に戸惑う 「夢?美容師になりたい夢のこと?」 将来の夢のことを言ってるのかと思い聞いてみる茜は首を横に振る。 「いいの、分かって貰えないと思うから。」 そう言って立ち上がり自転車を止めていた方へと歩いていく。 「茜?ちょっと待ってよ……」 茜の腕をつかみ、こちらを向かせる。 「茜、どうしたの?」 「何も無いの…、お願い、今日はもう帰らせて……」 私の手を振り払い自転車を漕いで夕焼けの空に吸い込まれるように見えなくなってしまった。 「なんで……」 私の手を振り払った時の 涙を流したあの顔が、 高校生になった今でも忘れられない
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