想う

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〈彩花〉 昨日のことがあってから茜は学校に来なくなった。 1日待てば来るだろうと思ったのだが、その考えは間違いだった。 3日たっても学校に来なかった。 何度かお見舞いに行ってチャイムを鳴らしても誰も出なかった。 もしかしたら私のせいで何か大変なことになっているのではないか? 「……どうしよう」 茜の家の帰り道で少し不安になる。 もし、それが本当だったなら…… そう考えて足を止める。 私が元凶なら私が止めなきゃ…… そんな思いで茜の家に向かっていると途中で女の子を見かけた。 黒くサラサラの髪 茶色く、少しキリッとした瞳 あの口元…………茜だ。 容姿が少し変わっていたが、絶対に茜だった。 「茜っっっ!!」 女の子に向かって呼びかけ、その細い腕を掴む。 「!!」 振り向かせると女の子は泣いていた 「え……」 「彩花…何してるの?」 「…心配しに来たの」 「私なら大丈夫だよ。ほら、大丈夫」 「どうしたの?」 「何が?」 そう言って微笑む。 なんだか茜のようで茜じゃなかった 「学校も来ないで、チャイムにも答えない。やっと見つけたと思ったら今度は何…?」 「何って…戻ったの。彩花は昔の私の方が好きなんでしょ?」 「私が、私が好きなのはそんな茜じゃない!」 「っ!……じゃあ、じゃあどうしたらいいか教えてよ!!」 耳をつんざくような声で叫ぶ。 「あんな私が嫌なら、昔の私の方が好きってことなんでしょ?」 「違うよ、確かに変わった茜は嫌だったよ__」 「じゃあっ…!」 茜が言葉を挟むが私はそのまま続ける 「でも、そうじゃないの。私が好きなのは自然な茜なの!そうやって無理して作られた茜は嫌!」 「っ……」 「…ごめん、言い過ぎた。」 「いいよ、もう……私だって昔の彩花の方が好きだよ」 そう言い捨ててふらふらと帰っていった。 「…心配してあげたのに、なにあの態度…」 茜に言われた言葉に苛立ちながら家に帰る。 『茜なんて友達とすら思ってないから』 茜とのLINEにそう送って、ブロックした。 少しだけ胸が苦しいのは…… 茜に言われた言葉が嫌だっただけだ。 きっとそうだ…。
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