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〈彩花〉
___「ほら、ここが彩花と私の秘密基地。素敵でしょ?」
「すごい……!すっごく綺麗!」
「喜んでもらえてよかった…ここは私達だけの秘密ね」
「うん、約束する。」
花のように笑う茜の顔が…とてもとても___
「おい、吉原、また昼寝か?」
大声に目をうっすら開けると担任の松島がいた。
「あぁ…すみません」
「寝るなら家に帰って寝ろよ?退学になるぞー」
呆れたようにそう言って授業を再開する。
周りにいるクラスメイトはくすくすと私を見ながら笑っている。
眠る気も無くなったので外の景色を見ながらボーっとしていた。
あの川も、あの森も、廃ビルも私にとってはこの街自体が茜との思い出だった。
窓に映った茜を見つめる。
この前までは、触れられる距離にいたのに、今ではもう遠い存在になってしまった……。
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