着信

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窓からの光で目が覚める。 気持ちのいい朝だ。 「ん……」 ぐっと伸びをする。 なんだかスッキリした朝だ。 こんな朝は久しぶりだ。 「片付けなきゃ」 転がったぬいぐるみを整頓し、部屋を一通り綺麗にした。 その時ちょうど家のチャイムが鳴った 扉を開けると茜がいた。 「…来てくれたんだね、」 「約束したから…」 「……ありがと」 そう言って茜の手を引き部屋に入れる。 「変わってないね、ぬいぐるみ好きなの」 「子供っぽいって思ってる?」 「全然」 茜が少し微笑む。 そうだ、これだ。私がずっと欲しかったのは。 茜の笑顔を見たかったのだ…。 「彩花?」 「ん?どうしたの?」 「その、さ……ごめんね」 そう言って頭を下げる茜。 「何言って、いいから頭上げてよ、」 頭を下げる茜に戸惑い頭をあげるように言う 「本当にごめん。私のせいで彩花を苦しめて……」 「そんなこと……」 「何度も泣いてたんでしょ?分かるよ、長い付き合いだから……」 「…………うん」 「ごめんね、こんなんじゃ親友失格だよね…」 そう言って笑う茜を抱きしめる 「私こそ失格だよ、言いたいことも言えなかったんだから」 「……おあいこ。」 「うん、」 回した手を離すと今度は茜の方から抱きついてきた。 「あ、茜?」 「彩花…好きだよ。」 「…?私も好きだよ?」 「……そうじゃ、ないの…」 だんだんと話す声が小さくなる茜。 聞聞き取ろうと顔を近ずけた。 そのとき茜が目をつぶった。 そのまま茜はじっとしていた。 私にはその動作の意味が何かわからなかった。 ……撫でて欲しいのかな? 私はそのまま茜の頭に手を乗せ、撫でてあげると茜が えっ となり目を開く。 「こうやってまた話せてよかった。ありがとうね」 茜は軽く落胆したような顔をしたが、すぐに笑顔に戻した。 「う、ん。ありがとう」 それから少し久しぶりに2人で話し、お菓子を食べ、笑いあった。 久しぶりに話すことがこんなに楽しいなんて… 茜と話すことは特別だ。秘密でもなんでも話し合える。昔の話や、最近あった先生の話… 色々話している間に日が沈んでいた。 「門限あるから帰らなきゃ…」 「門限?茜の家そんなに厳しかったっけ?」 「お父さん、再婚したんだ。」 「!……そっか。ほら、早く帰らなきゃ心配されるよ」 「ありがと…じゃあね」 そう言って手を振って帰っていった
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