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しんしん、しとしと空から白い結晶がたくさん降る日に生まれてきたがため、名前が雪になってしまったのは母の天才的な感性のおかげである。
恨みこそはしていないが、なんだか泣けてくるのは許されると思う。
そして同じ日、一時間遅れて生まれてきた片割れは、無事出産という大儀を終え退院した母へ父が花束を贈ったことにより花と決まった。
そんな双子は、気候の穏やかな田舎ですくすくと育ち、晴れて大学生となり都会にて一人暮らしならぬ二人暮らしをしているのだが、どうも困ったことになっているーー……
「雪、」
耳元に顔を寄せて甘噛みをしながら、囁いてくる同じ顔。
生まれてから毎日隣にあるのが当たり前の顔だ。
正直、ウザい。
「雪、」
それをお構いなしに息がかかるほどの近さで弟は飽きもせずに何度も自分の名前を呼ぶ。
「雪、」
そして余すところなくキスをしてくる。
弟にせがまれる形で、もう幾度目かわからない口づけを受け入れる嵌めとなった。
「ん、っ…ぅ……」
弟の舌が口内に押し入ってこようと幾度となく挑んでくるが、雪はただただ困惑するしかない。
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