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雪は快楽の波に揺れながら薄灰の天井を見つめる。
「雪、愛してる」
砂糖菓子のように甘ったるい言葉を吐く双子の弟に雪は聴こえるか聴こえないかの小さな声で「……知ってる」と吐息混じりに呟いた。
ブラザーコンプレックスにも程があるなとは思っていた。
やたらとスキンシップをとりたがる分身の対応に困惑していたそんな矢先。
布団にてもうすぐ眠れる五分前という時に告白された。
「雪とセックスしたい」
どこからツッコミをいれたらいいかわからない告白に雪は眩暈がした。
雪にとんでもない告白をしたのは紛れも無く血の繋がった双子の弟。
雪は迷わず即答する。
「無理」
弟は捨てられた仔犬のような瞳で見てきたがどうしようもない。
「どうして?」
逆にどうしてその質問を返せるのだろう。
「いや、世間的に考えようよ」
元より面倒くさがりなのにこんな面倒なことはない。
相手をしていられないと弟とは逆向きに寝返りを打ったのだが、おかまいなしに弟が人の布団の中へ詰め寄ってきた。
背中に伝わる自分よりも大きな温もりに雪は思わず舌打ちをする。
「俺は世界が敵になっても雪を愛する自信があるよ」
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