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雪はなんとか弟から離れようと頭をフル回転し逃げ道を探すが思いつかない。
とりあえず興奮状態の弟をなんとか宥めようと試みる。
「このっ、待てって。マジかっ、マジで俺のケツを掘る気か?」
「……」
無言、ということは肯定ということなのだろうか。
血の気が引く。冗談じゃない。
なんとかこの身に降り懸かる危機を回避しようとここぞとばかりに言葉で畳み掛けた。
「まずは落ち着け。話せばわかる。そうだろ?」
弟なら拒否をすれば納得してくれると思った。少なくとも雪の知る数十分前までの弟ならそうだった。
縋る思いで訴えるが弟はただ優しく微笑んだだけだった。
「ごめん」
謝罪が聞きたいわけじゃない。
「でも絶対に痛くしない」
ましてやそんな保証などいらない。
「俺、きっとうまいし」
あいた口が塞がらない。自意識過剰にも程がある。何を言っているのだろう。
男同士のセックスって確かケツの穴にナニを入れてするのだろう。
ケツ穴で感じるようになってなんの得があるというのだ。
「それで俺がなるほどって頷くと思うか?」
弟は首を横に振る。
「なら俺のケツを掘る? 雪ならいいよ」
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