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第二十二章 カミングアウトその後
「帆菜さんと結婚して良かったな。」
ハルカが言うと、翔喜はニヤリと笑った。
「カミさんになって思うけど、あいつなかなかしたたかでタフで
ええ女や。
ただのぶりっ子やなかったで。」
確かに彼女はとてもしたたかだ。
欲しいものを自分の手でつかみ取るたくましさもある。
「今日は会えてよかったわ。
よく似てるからもしかして、と思って
声かけてよかった。」
「ナンパかと思って無視しようと思ったわ。」
「アホ、もうナンパからは足洗ったわ。」
じゃあな、と彼は言いハルカの分も支払ってくれる。
「ええのに。」
「ま、気にするなよ。こんな事ももう無いやろうし。
シャンパンタワーほど豪華やあらへんけど。」
あの出来事から1年もたってないのに、
もう遠い昔のように思えて懐かしかった。
「ありがとう、元気でな。
帆菜ちゃんと、お腹の子によろしく。」
「おう、姫が男やって知ったら驚くやろうな。
あ、言っても良かったか?」
配慮してくれてるのが嬉しかった。
「ええよ、ネタにしてや。家族仲良くな。」
にっこりと笑いながら、ハルカは言う。
清々しい気持ちと、うらやましい気持ちが混じりあって
少し複雑だった。
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