第二十二章 カミングアウトその後

1/1
前へ
/28ページ
次へ

第二十二章 カミングアウトその後

「帆菜さんと結婚して良かったな。」 ハルカが言うと、翔喜はニヤリと笑った。 「カミさんになって思うけど、あいつなかなかしたたかでタフで ええ女や。 ただのぶりっ子やなかったで。」 確かに彼女はとてもしたたかだ。 欲しいものを自分の手でつかみ取るたくましさもある。 「今日は会えてよかったわ。 よく似てるからもしかして、と思って 声かけてよかった。」 「ナンパかと思って無視しようと思ったわ。」 「アホ、もうナンパからは足洗ったわ。」 じゃあな、と彼は言いハルカの分も支払ってくれる。 「ええのに。」 「ま、気にするなよ。こんな事ももう無いやろうし。 シャンパンタワーほど豪華やあらへんけど。」 あの出来事から1年もたってないのに、 もう遠い昔のように思えて懐かしかった。 「ありがとう、元気でな。 帆菜ちゃんと、お腹の子によろしく。」 「おう、姫が男やって知ったら驚くやろうな。 あ、言っても良かったか?」 配慮してくれてるのが嬉しかった。 「ええよ、ネタにしてや。家族仲良くな。」 にっこりと笑いながら、ハルカは言う。 清々しい気持ちと、うらやましい気持ちが混じりあって 少し複雑だった。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加