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第二十五章 色仕掛け その2
アキヒトは葵さんのすべすべした手を握りながら
彼女の胸元に視線を移していた。
狭い半個室の部屋で、両隣からは囁くような声と吐息が聞こえてくる。
アキヒトが隣の物音に耳を澄ませていると
「おっぱい、触る?」
と彼女が耳元で囁いてきた。
それと同時に隣から
「あんっ!」という喘ぐような声が聞こえてくる。
「お隣さん、盛り上がってきたようやね。」
葵さんが悪戯っぽい顔で言いながら、ニットの裾をめくってきた。
白い肌があらわになり、ブラのレースがちらりと見える。
“やっぱりここはそういう店じゃねえか!”
そう思うなり、反応する下半身が恨めしい。
“静まれ”と命令しながら、
アキヒトは葵さんを極力見ないようにしていた。
「いや、大丈夫ですから。葵さん、服着てください。」
今までのアキヒトなら、その場で押し倒していたところである。
よく頑張ってると
自分で自分を褒めてやりたい気分だった。
「ええやん。触るだけ、タダやで。」
葵さんが強引にアキヒトの手をつかみ、
胸元へ押し当ててくる。
“デカい。”
アキヒトは内心大興奮しているが、
顔に出さないように必死で気を付けた。
「葵さん、セクハラですよ。飲みすぎじゃないですか?
もう今日は帰りましょう。」
アキヒトはきっぱりと言うと席を立ち
上着を着て会計を済ます。
すべて終えて席に戻ると
葵さんはすでに帰った後だった。
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