第一章 雪深々(しんしん)と積もり、音も無く夜が来る

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 適当に詰め込んでみると、かなりの大荷物になっていた。俺の着替えは少量なので、比較すると引っ越しのようだ。 「車に運んでおく」 「……いいよ、俺が運ぶ。夏目はお菓子でも詰め込んでおいて」  子供ではないので、お菓子は必要ない。だが、隠れて酒とつまみを詰め込み、サバイバル用のナイフなども用意した。 「サバイバルナイフというよりも、狩り??ウサギでも捕まえるの?」  普通のサバイバルナイフだが、俺が持つと大きく見えるだけだ。 「熊と戦う!」 「はいはい」  他に気分を盛り上げる為に、登山グッズを持ち、簡易コンロなども箱に入れた。 「夏目の遊び道具も持ったね。行こうか」  本村の仕事が中々終わらなかったので、やや遅れた出発となった。  車は大型のSUVで、荷物を積み込んでも余裕があった。俺は、後部座席にチャイルドシートを見つけ首を振る。 「俺は六歳になったので、これは卒業した」
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