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見ると至って小柄な、殆ど少女のような感じの事務員がもう一人奥にいて美人の同僚に注進に及んだのだった。「え?奥さん来てたの?ああ、そう。でもボーイの面接は高さんの方がいいでしょうに」と云うのに「ううん、平気よ。奥さんは何でも仕切るから。私が呼んで来てあげる」と云いざまカウンターから出て来て青年にニッと微笑んでみせるとカウンター脇の階段を一気に駆け上って行った。こちら美人の方は気が乗らぬげに青年に渋々と席を勧める。借りて来た猫のように消え入りそうな様子で青年が席で待っていると、幾許もなく小柄な事務員に先導された奥さんが二階から降りて来た。李夫人、緑色のチャイナドレスを身に纏った四十代半ば頃と思われる、目を見張るような麗人だ。境遇も忘れ、青年の目は華に吸い寄せられた…。
【李夫人のイメージ】
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