(一)プロローグ

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「みなと」                      港だ、夜の。 風が頬に冷たい。 停泊中の船の灯りが美しい。波に照り映えてゆらゆら揺れるその様は 海に金色の帯をながしたようだ。 遠くからウインチの音が聞えてくる。人夫たちのかけ声も。 さても今 港は眠っている。 波の揺り籠にゆられ、夜の闇に包まれて。 俺も帰って寝ることとしよう。 波の音がいかに心地よくとも 潮の香がいかに芳しくとも 今は帰ることとしよう。 港よ、お前もそのまま眠り続けるがいい、 静かに… だがもし、太陽が天空の真ん真ん中に来、 人々が薄地の服を纏うようになったら 港よ、甦れ! すべての活気を取り戻せ! その時俺は行く。 聖なる都パリへ、フランスへ。ランボーとなって! e6d8a1e5-d6aa-4a76-bf1d-edfcb353650c
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