王女様の策略

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 これで、王女様は大丈夫。そう安心していたところに、それは起こりました。  その朝、王陛下の近侍より王室会議への招集がかかりました。どうしてわたくしに、と訳が分からないまま、広間へと連れて行かれました。  扉をくぐると、目の前に王女様がいらっしゃいました。わたくしはほっとして、王女様のおそばへ向かおうとしました。けれども、様子がおかしいことに気が付きます。一番奥の椅子に、王陛下が座っていらっしゃいます。その周りに、各大臣が控えます。王女様は、両脇を近侍にはさまれ、広間の中心に立っていらっしゃいます。これではまるで、尋問みたい。  視線を揺らすと、扉のすぐ横に兄がいることに気付きました。兄のところへ行こうとしました。けれども私の両脇にも近侍がいて、この場を動くことができません。わたくしが状況を理解できないでいると、カールシュテイン様が入室されました。 「揃ったな」と、王陛下が重々しい声を発されました。 「これより、アリシア第一王女殿下への聴取を始めます」  国務長官が発した声に、わたくしは目を見ひらきました。
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