4.洞窟調査書

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 午前中は岩を取り除く作業を手伝っていました。でも、昼休みの後はついに立てなくなりました。朝からずっと鼻血が出っ放しで、胃にたまった血を何度か吐きました。このままだと命が危ないということで、私は担架に乗せられ、入って来た場所に戻されました。そのお蔭で私は命拾いをしました。私を運び出す判断をしてくれたラルヒ隊長には感謝しています。  体調を崩した理由について思い当たる節はありません。変な病気は持っていないし、食べ物だってみんなと同じものです。  今言えるのは、あの洞窟に入ってはいけなかったのだということです。神秘的なものを信じる方ではないですが、忌まわしい体験を振り返って、あの遺跡には何か祟りのようなものがあったとしか考えられません。給料を百倍出すと言われても、二度とあの穴には入りたくない。それが今の正直な心境です。 (記録者・ジョウ・ケルピ王宮警察本部公安部主席調査官)
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