5.途切れた調査書

3/4
前へ
/130ページ
次へ
<いや、それは余りにも非科学的な結論だ>  もう一つ、有力な推測は、何らかの貴重なものを隠した場所という可能性だ。それが何なのかは分からないが、簡単に見つかり、掘り起こされては困るものであるのは確かだ。それが財宝なのか、別のものなのかは、この報告書からでは全く分からない。しかし、これだけの巨大な洞窟を掘るだけの財力を持った人(組織)であれば、隠すべき貴重な財宝は膨大なものに違いない。  だが、前文明の王族か大富豪が財宝を隠したとして、これだけ徹底的に秘匿する理由があるだろうか。価値のある宝であれば、いつかは掘り起こすことを企図するはず。失われてしまっては意味がない。 埋めた後に、地図を焼失させてしまった可能性はある。長い年月を経て、その場所は氷河に覆われ、人が近づき難い所となった。そして、さらに気の遠くなるような歳月が経ってしまった。  だが、その仮説は空想の域を出ない。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加