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ルルに調査の終了を告げたのは、日が西に沈んだ後だった。窓の外が暗くなっているのを、内線電話をしているときに気付いた。
ルルはすぐに資料室にやって来て、調査に五時間余りを費やしたにもかかわらず、こう言った。
「思ったより早く終わりましたね」
「資料がきれいに整理されていたので、探す手間がほとんどなく、効率よく調べることができました。感謝します」
僕がこう答えると、ルルは頷いた。
「調査の目的を果たすことができましたか」
言葉だけだと、事務的に聞いたように思えるが、言い方にはやや棘が感じられた。時間がかかり過ぎて、気分を害してしまったのだろうか。
「こちらの療養所での調べは充分に果たせたと思います。ですが研究はまだ始まったばかりですので、これからも調べることが山ほどあります」
「研究…とおっしゃいましたか」
「はい。わが王国の感染症治療の歴史を調べるのは、なかなかの大事業です」
僕は再び「表向き」の調査理由を持ち出した。ルルはしばらく黙った後、驚愕の言葉を放った。
「それにしては調べられた範囲が随分と限られていましたね。失礼ですが、あなたは嘘が余りお上手ではないようですね」
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