4.洞窟調査書

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4.洞窟調査書

 僕は考古学の博士課程を専攻し、将来は王立アカデミーの理事となるべく、それなりに真面目に学問を究めているつもりだ。しかし、上奏文にあったイホシス王の二十四期に、前文明に関わる大規模な調査が行われたということを、今の今まで全く知らなかった。オムスという地名も初めて聞いた。  これが書かれたのは今から九十期前のことだが、王命で大規模な調査が実施されたのなら、たとえ成果が得られなかったとしても、考古学史に何らかの記述が残っているはずだ。逆にそれが全くないということは、どう考えてもおかしい。曽祖父が記した「重大な秘密」に関わりがあると、僕は直感した。 書類は三枚目。今度は報告書の写しが現れた。
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