第五章 ドラゴン

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 確かに、そうであれば記憶がないことが少しは納得できる。つまり、私は生前の記憶がすっぽり抜けてしまっているのだろう。  いや、それでもおかしい。もしそうなら、ドラゴンさんもヴィヴィも、言ってくれれば良かったのだ。わざわざ隠す理由がない。  その時、頭の中で、ヴィヴィに言われたことが蘇った。  ドラゴンの使う魔法は、所詮まやかし。まやかしに気づけば、効果が薄れる。  頭が痛くなり、またあの目眩が訪れる。  「……私は、死んでない」  どうにかそれだけ言った。
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