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第八章 ハッピーエンド
長かった。
と、アメルは半年ぶりに外の空気を吸って思った。
ドロテアが死んだ後、アメルはバハル達に捕らえられた。しかし、戦闘不能な状態までに体が痛めつけられ、「情報源」として価値があると見なされたため、彼女は生き延びていた。
人身売買の仲買所は何故か首謀者が自首したため、場所が役人に知られ、芋づる式に共犯者たちが捕まっていった。
アメルは保護され、王城に戻った。主人を守りきれなかったのにのうのうと生きているという彼女の自責の心境を理解してか、父親も国王も彼女を責めなかった。
ドロテア王女の葬儀は、王国を挙げて盛大に行われた。アメルは、自分の失態が国民全員に祝われているように感じ、参加を拒んだ。
ドロテア王女の葬儀の数日後、奇妙なことがおきた。
自分を森のドラゴンと名乗る若い青年が急に国王の部屋に忍び込み、王国と森の和平を持ちかけてきたのだ。青年は毒々しい紅い目を持ち、古風な服を着ていた。
もちろん、和平の話は、ドラゴンと戦ったら勝ち目のないであろう王国側にとっては願っても無い話だったので、すぐに同意にたどり着いた。運のいいことに、国王は、ドラゴンから王国を保護するという約束を取り付けることにも成功した。
和平を持ちかけた動機を問われた時、青年は何も言わずに羽を生やして窓から飛び去ってしまった。
これで、森に侵入さえしなければドラゴンに襲撃される危険はないし、他国からの攻撃にも怯える必要はない。
王城を騒がしていた少女消失事件も解決した。
ドロテア王女のいない世界は、今日も平和だ。
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