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ドロテアが明らかに嫌そうな顔をする。しかしアメルは気にしない。ドロテアをそのままドアから引き離し、自分がドアを開け、道を作る。
王女は負け惜しみのようにドアを自分でも少し押し、部屋の外に出た。
廊下に出て、二人は歩き始めた。後ろからアメルがついてきていることを確認し、ドロテアは小さく息を吐いて話し始めた。
「今から私は、最後に消えた少女についての聞き込みをしようと思ってたのよ」
差し出された資料をアメルは受け取り、目を通す。ドロテアは話を続けた。
「彼女は厨房付近の掃除を担当していたメイドの一人で、消えたのは今から約一ヶ月前。明るく優しい性格で、交友関係がそこそこ広かったらしいわ。だから、今からその友人を探して話を聞きに行くの」
確かにドロテアは厨房の方に向かっているようだ。
アメルは一つ疑問を抱いた。
「ドロテア様、このメイド、名前はなんと言うのでしょうか?」
「ええと、確か……東の方の名前で……」
ドロテアはアメルの持っていた紙を取り上げてパラパラとめくり、最後の一枚を取り出した。それを持ち上げてアメルに見せる。
「ミシュカ・ロジュノストっていうのだけど、珍しいわよね。私結構好きなの、この名前」
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