第一章 王女

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 ドロテアが明らかに嫌そうな顔をする。しかしアメルは気にしない。ドロテアをそのままドアから引き離し、自分がドアを開け、道を作る。  王女は負け惜しみのようにドアを自分でも少し押し、部屋の外に出た。  廊下に出て、二人は歩き始めた。後ろからアメルがついてきていることを確認し、ドロテアは小さく息を吐いて話し始めた。  「今から私は、最後に消えた少女についての聞き込みをしようと思ってたのよ」  差し出された資料をアメルは受け取り、目を通す。ドロテアは話を続けた。   「彼女は厨房付近の掃除を担当していたメイドの一人で、消えたのは今から約一ヶ月前。明るく優しい性格で、交友関係がそこそこ広かったらしいわ。だから、今からその友人を探して話を聞きに行くの」  確かにドロテアは厨房の方に向かっているようだ。  アメルは一つ疑問を抱いた。  「ドロテア様、このメイド、名前はなんと言うのでしょうか?」  「ええと、確か……東の方の名前で……」  ドロテアはアメルの持っていた紙を取り上げてパラパラとめくり、最後の一枚を取り出した。それを持ち上げてアメルに見せる。  「ミシュカ・ロジュノストっていうのだけど、珍しいわよね。私結構好きなの、この名前」   
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