しゃぼん玉

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 4月、少女が窓辺にぼんやりと座っていた。左手に石鹸水の入った小瓶、右手に先が輪になった針金。少女は輪の部分を石鹸水に浸すと、口の前に持ってきて、薄桃色のかわいらしい唇をすぼめて、軽くふっと息を吹きかけた。石鹸水の薄い膜は無数のしゃぼん玉になって、まるで籠を開け放たれた白い鳩の群れのように窓の外に飛んで行った。窓は4階か5階の高さ、しゃぼん玉はオレンジ色の夕日を浴びて虹色にきらきらと輝きながら、風に乗ってどこまでもふわふわ広がって飛んでいった。 イラスト たやす3f4787c8-bd7d-4545-8d28-efdf729fe709
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