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1.
彼女は眠り姫。彼女の許容を越える事が起きるとたちまち眠りへと誘われる。彼女の自己防衛手段。悪夢を見ながらそれをどう乗り越えるかを考える。
「私と結婚しよう。いや、私達兄弟の中から誰でもいい。君の一族と血縁関係になる為に結婚しよう」
「え、はい……?」
彼はポケットから写真を取り出し彼女に渡す。
「私と弟達の写真だ。誰が好みだ?」
彼女は無表情にそれを眺める。突然の事すぎて表情も固まってしまったのだ。
イケメン、イケメン、イケメン。三人ともイケメン。
目の前の彼は年上だろう。ガタイが良く頼りがいがありそう。印象としては騎士のようだ。
二人目の彼も体格はよいがスラっとしていて、何かのモデルを務めていそう。
三人目の彼は見るからに年下で明るそう。格好いいというよりは可愛い系、母性をくすぐられるような顔立ちだった。
「あの……」
彼女が写真から顔を上げ、彼を見ると彼はさも当然の様に彼女の手を引き腰に手を回し、囁くように耳元で呟いた。
「約束しただろ?」
血の気がさっと引いた。たちまち視界は暗転し、彼女は眠りへと落ちていく。
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