【1】Stalker or pervert?

5/28
前へ
/100ページ
次へ
3.  可愛らしいふんわりとしたチェックのスカートに、リボンタイの着いたブラウス。いかにも女子な服装。  「ああ、ハヤセよく似合っている」  「!?」  階段を降りた途端、突然の抱擁にハヤセは言葉もなく硬直した。  「君の為に選んだんだ。君を見て似合うと思った。私の見立てに狂いはなかったようだ」  紅潮した頬で彼はハヤセを見ていた。  「あの、あの……」  すっぽりと抱きしめられた腕の中は筋肉質で丈夫だった。父親や兄なら安心するだろう。だが知らない男性に、いくらイケメンでもいきなり抱きしめられれば怖い。  固い胸板を遠慮気味に押し返し、その顔を見上げた。彼は唇に弧を描き首を少しだけ傾げた。  「なにかな?」  「や、やめて、ください……」  語尾は消え入りそうな程小さな声だった。  「どうして?」  「どうしてって……。し、知らない人に、あの、いきなり抱きしめられても……困ります」  しどろもどろに返事をするハヤセ。  「知らなくないだろ? 君は私を待っていると誓ったじゃないか」  「人、違いです……」  人違いではない事は今のやり取りでなんとなく気が付いていた。名乗ってもいないのに、彼はハヤセの名前を知っていた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加