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「どうしてそんな事を言うんだ? 私を忘れてしまったのか? 君の父上にも君をよろしく頼むと言われている。父上から何も聞いていないのか?」
「お父さんが?」
「そうだよ。君の父上は結婚に大いに賛成してくれている。君の居場所も父上が教えてくれたんだ。だから迎えに行けた」
瞼が重い。頭がぼーっとする。ハヤセは今の状況を受け入れることが出来そうにない。
「……」
「眠らないでハヤセ。起きろ。君のその体質も私なら治せる」
「どうして……?」
「私が知っていて不思議か? それも父上から聞いている。いつからそんな体質になったんだ? ……なぁ、眠り姫は王子のキスで目を覚ますのだろう?」
落ちそうな瞼を必死に堪えていたハヤセの頬に手が添えられた。そしてそのまま彼の顔が近づいたと思えば、唇には柔らかな感触が。
一旦目を大きく見開いた。抱きしめられていなければ床に倒れていただろう。
何をされたのか気づいたハヤセは再び夢の中へと落ちて行った。
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