0人が本棚に入れています
本棚に追加
化ケ物殺シ
「誰か!誰か助けてぇ!」
闇夜の中で恐怖の叫びが木霊する。
恐怖に顔を歪ませながら逃げる。
「──シャア!」
人ならざる者の声が響いた。気味の悪い、化ケ物が、自分に襲いかかってくるのだ。
あぁ、もうダメだ。自分は殺される。
そう、覚悟した時。
「ギャッ!」
ボトリ、と。化ケ物の首が落ちた。
化ケ物の後ろには一人の少女が立っていた。
手には刀が握っていた。
髪は黒く、ショート。肌は白く女子にしては少し高い背丈。だが、体は細い。
ただ、一番目立ったのは顔を隠されている狐のお面。
少女は襲われた人に近づいた。
「手、怪我している。大丈夫?」
「だ、大丈夫」
とは言え、出血は止まっていない。少女は白い手拭いを取り出し手に巻き付けた。
それが終わると少女は立ち上がりその場を去ろうとした。
「ま、待って!」
「……何?」
「あなたは、何者なの?誰なの?」
少女は少し考えるような動作をとった。
そして、
「──化ケ物殺シ」
最初のコメントを投稿しよう!