十二章 カンバスに想いを込めて

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「イヤか? ダメだったか?」 「嬉しい、です……」  そう、これは嬉し涙。  徹に抱かれながら、その温かさを味わいながら、樹里は思った。 (また、新しいカンバスを買わなくちゃ)  徹の魅力が、また一つ見つかった。  それを、新しいカンバスに描こう。  徹さんへの想いを、湊への愛情を、いずれ訪れる新しい命への祝福を、カンバスいっぱいに表現しよう。 「ありがとう、樹里」  徹が、頬ずりしてきた。  樹里も、それに応えた。  心の中は、愛でいっぱいだった。  この世の全てが、愛に満ちていた。  
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