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 とりあえず会社へ行かねばと立ち上がりますがその度にきぃはがっちりとくっついて離れようとはしません。  給料は高いわけでもなく、かと言って低いわけでもないごく普通の企業ですが、生きていく上で大変お世話になっています。遅刻するわけにはいきません。  今も昔もそれなりにしか持ち合わせていない社会人たる責任をきぃと過ごすようになってからはビシビシと感じます。  とにかくきぃを引き離しにかかりますがきぃは「やだ、ユーダイと一緒がいい」とへばりついては離れません。  朝の一分一秒を惜しむ最中、ホント、どうしましょう。どうしてくれましょう。 「きぃっ、いい加減にしろっ」  思わず声を荒げました。きぃはびっくりしたのでしょう。  大きな瞳に涙を浮かべはじめました。今にも零れ落ちそうです。 (いや、俺、悪くない……)  しかしこれはまずい展開です。 「うわーんっ、うわぁーんっ、ユーダイが怒ったぁ」  俺は頭を抱えました。 「わかった、わかったから泣くな」  予測はしていたものの実際泣かれるのは気分が良くありません。 「悪かった、悪かったけど……」
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