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 きぃにその意味が伝わっていない感は否めませんが、この約束事は重要です。 きぃも最初からエッチをしたいなど言う子ではありませんでした。  日に日に俺の性癖を知ってしまい、真っ裸で抱き着くというとんでもない作法をとってくるようになってしまったのです。  とにかくそれをやめさせなくてはなりませんが結果は言わずもがなーー…… 「いいぞ、きぃ。ふたつ」  今度のきぃはまた不服そうです。  本当にコロコロと表情が変わる不思議な子です。 「ふたつ……金魚のエサを食べてはいけない……」  もそもそと歯切れ悪く喋るきぃに再度復唱を促します。 「はい、もう一度」 「う……金魚のエサを食べてはいけないっ」  金魚が人間になりましたと言ったところで誰も信じてくれないでしょうが、今更ながらきぃは金魚です。  ある日突然金魚鉢から金魚が居なくなり代わりにびしょ濡れのきぃが目の前に現れました。 『はじめまして。ボクはあなたを幸せにする幸福ノ金魚だよ』
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