私の妹は霊能師

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8.妹は1980円 私の妹は、どんなに安い洋服でも、とても上手に組み合わせるのです。 とても品が良く、センス良く着こなす妹なのです。 靴下と、靴を除けば… どこから見ても、良い所の奥様とも…お嬢様とも…お人形さんとも言われました。 ですが、私は、気が付いたのです。 妹は、1980円の値段のついた洋服を着て歩いていたのです。 「あんだは、1980円なのがい?」 私は、思わず言ってしまいました。 「え?」妹は、何も分からない…何も知らない…知らぬ損善の顔をして 「え!」と言いました。 妹は、またやっちまったのです。 「まだやっちまったない」と私。 クルクル巻き髪も、メイクも完璧で… 何で値段つけて着てんのか…それも、1980円…思考回路が分からないと思う私なのです。 化粧品もそうです。 ちふれの350円の口紅をケースにも入れず、そのまま使ってます。 何とも思わない妹なのです。 ファンデーションもです。 ちふれ化粧品の、700円ぐらいのファンデーションです。 私は、思わず、下地ぐらいは…と思い、「あんだ、下地、何使ってんだい?」と聞きました。 「う~ん、そこら辺に売ってるやつだよ」と妹。 「あ、そう。そこら辺に売ってる高い下地なのかい?」 「うんん、高くないよ。何百円だべ?」 私は、思わず、自分の貰った試供品を妹に送りました。 妹からも、「このクリーム肌に良いんだよ。お姉ちゃんも使ってみ」と送られて来ました。 プラセンタという、クリームですが、チューブ入りのクリームですが、なんと、その値段は千円でした。 千円の、プラセンタクリームって… でも、不思議な事に、私の妹は、しわも、シミもないツルツルのお肌なのでございます。 しわもシミも、いっぱい毛穴バッチリの私には、羨ましい限りです。 「あんだ、どんな手入れしてんだい?」と妹に聞くと、 「何にもやってねえよ」と言いました。 「何でそんなに、ツルツルの肌してんだい?」と私。 「何で?何でって言われても…」と妹は、首をかしげながら、 「自分の手かな?」と言いました。 何も分かってない妹なのです。 妹の手は、「マジックハンドなのです」 痛い所を和らげ、血液の流れを良くし、しわまでのばす「マジックハンド」なのです。 不思議に思う事が、沢山ある私ですが、妹にひとつ、ひとつ聞いても、何を聞いても「おら~、分がんね~…」 「なんだか…私でない人が言ってるみたいなんだけど…」と言うのです。 「なんだ、それ」と私。 「私じゃないんだよね…」と妹。 私の妹は、妹自身も、気付いていない沢山の、不思議な力を持っているのです。
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