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「ねえねえ、聞いてよリカちゃん」
保健室は、白い。
その中で赤い服を着ているリカちゃんを初めて見たとき、楓はショートケーキの苺みたいだと思った。
「なあに、楓ちゃん」
「先生がね、楓のダンスにC評価付けたんだよ」
そうなんだ、とリカちゃんが目を細めて笑う。
「楓ちゃんってダンス習ってるんでしょ? 」
うん、と答えながら楓は大げさに続ける。
「ダンス習ってない子たちがA評価なのに、ダンス習ってる楓がC評価なんておかしいよ!」
昼休みの保健室は、外の声は聞こえるけど、中の声は外には聞こえないんだって。
リカちゃんが教えてくれた日から、楓は大きな声が出せるようになった。
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