【短編】月下美人

昭和60年5月7日

　初めての委員会会議。
　やることは、1年生も加わったメンバーで、曜日ごとの担当を決め直すだけだった。
　購買の仕事は、時期には左右されない。商品の仕入れ管理は担当教師の仕事で、私たちはただ週に1日、朝と昼に販売をするだけだ。
　美由紀さんに話しかける機会はない。彼女は仲の良い友達と組んで、月曜日の担当になった。
　私は、知らない他の1年生と組んで水曜日に。やる気はなさそう。
　友達と笑い合う彼女はとても楽しそうで、近付くことも出来ない。
　それでも、彼女の姿を見ているととても幸せな気持ちになる。
　近付けないけれど、同じ仕事を持っているという事実は、私を浮かれさせるには充分だった。