五章

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「つまんない………けど、達兄らしいっちゃらしいよね。」 「ははは。それはそれとして、だ。組合長殿、街の警戒が少々緩んでいるのではないかな?」 「……そのようですね。ですが、懐かしい気配だ。二度と会わないことを願っていたのですが……500年ぶりですね、フリオ伯父さん。」 「伯父さんは止せ。儂はもう、貴様なんぞ甥とは思っておらん。……ふむ、おい、そこな小娘。」 「……何?」 「貴様にとくにこれと言って恨みはないが……あるお方からの命令だ、ここで……死ね。」 一本の矢が、いつの間にかそこにいた壮年男性の手から琴把を狙って放たれる。 しかし、その矢は虚空から現れた八つの燕脂色の箱に阻まれた。 「妖器開封、融かし食らえ『八頭毒龍(ヤマタノドラゴン)』!理由はどうあれ、殺意を持って攻撃してきた……つまり、排除していい敵だね。“滾れ”、『至高神血(テオス・イコル)』……おん?(琴:どした神血(イコル)。)(イ:八頭毒龍のやつが、体を寄越せ言うねん。)(八:ぎぶあんどていくダヨ、主。俺ハ喰ラッタモノヲ妖力ニ変換シ蓄エ、必要ニ応ジテ様々ナモノニ変換デキル。ソノ変換先ハ魔力ダッテ例外ジャナイ。至高神血(ておす・いこる)ガ俺ニ体ヲ継ギ足スナラ、俺ガ喰ラッタモノヲ変換シタ妖力ノ六割ヲいこるニクレテヤルトイウ契約ヲカワシタンダ。)(イ:まぁ、ほんまは癪にさわるけん嫌やねんけど……うちの存在理由的にはこいつの提案断る必要性がめっちゃ薄いねんな。)(琴:ま、手札が増えるんならなんでもいいや。喧嘩すんなよ、お前ら。)(イ:あいまむ!)(八:承知シタ。)」 琴把の両目が、縦に切れ込みの入ったような瞳孔の金目に変わる。犬歯が発達して口から微かに覗き、両腕を覆った銀は、鋭い爪を備えた籠手のようになった。 更には、背中から伸びた銀の触腕とでも呼ぶべきものが、箱から解き放たれ宙に浮かぶ禍々しい八つの龍頭に繋がると、拳より二周り大きい程度だった龍頭がバレーボール程の大きさまで肥大化した。
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